アレルギー性疾患

アレルギーとは

アレルギーとは、本来は細菌やウイルス、悪性新生物などから私たちを守るはずの免疫が、過剰に反応して起こる現象です。よく知られているのは、IgEというアレルギーの抗体が関係する反応です。

IgEは、自然界では問題のない物質、たとえばダニや花粉、食物のたんぱく質などに対しても作られてしまい、その物質（アレルゲン）に敏感に反応してしまいます。

IgEを作りやすい体質を「アレルギー体質」と呼び、この体質は遺伝します。お子さんがアレルギーの病気を持っている場合、たいていご両親のどちらか、あるいは両方にアレルギー体質があると考えてよいでしょう。

あるアレルゲンに対してIgEを持っていることを、「そのアレルゲンに感作されている」と言います。ただし、感作されていることは病気であることと同じではなく、実際に食べて症状が出た場合に初めて「食物アレルギー」と診断されます。それでも、感作されているかどうかを知ることはとても大切で、その結果をもとに今後の対応を考えます。

アレルギーマーチとは

アレルギー体質のお子さんは、まず湿疹、次に食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、気管支喘息（ぜんそく）といった順にアレルギーの病気を次々に発症することがあります。この流れを「アレルギーマーチ（行進）」と呼びます。早い段階でこの行進を止めることが目標です。

まずは「皮膚をきれいに保つこと」から始めるのがよいでしょう。アレルギーは皮膚から始まります。

アレルギーかも？と思ったら

アレルギーかどうかを知るには、症状の観察と検査が重要です。以下のような症状が繰り返し現れる場合、アレルギーの可能性があります。

食物アレルギーの症状

食後すぐ～2時間以内に出ることが多いですが、2時間以上たってから症状が出るタイプの食物アレルギーもあります。

• 口や舌の違和感、かゆみ
• じんましん、赤み、湿疹
• 嘔吐、下痢、腹痛
• 喉の腫れ、息苦しさ
• アナフィラキシー（重篤な全身反応：意識低下、血圧低下）

アトピー性皮膚炎の症状

生後数か月から始まることが多い

• 頭や顔、首、関節部分に湿疹やかゆみ
• 乾燥しやすく、掻き壊してジュクジュクする
• よくなったり悪くなったりを繰り返す

アレルギー性鼻炎（花粉症を含む）

特定の季節や環境で出る

• くしゃみ、鼻水、鼻づまり
• 目のかゆみ、涙目
• 朝起きたときに特に症状が強い

気管支喘息（ぜんそく）の症状

運動後や季節の変わり目、風邪をひいたときに悪化しやすい

• 夜間や早朝の咳が長く続く
• ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音（喘鳴）
• 息苦しさを訴える

蕁麻疹（じんましん）

食べ物や薬などが原因となることがある

• 突然、皮膚に赤い腫れやかゆみが出て、数時間で消えることが殆どだが、まれに繰り返すことがある

当院で行っているアレルギー検査

	検査方法	目的
特異的IgE抗体検査	血液検査	アレルゲンに対する抗体を調べる
皮膚プリックテスト	皮膚に少量のアレルゲンをつけて反応を確認	食物アレルギーの原因を診断する
食物経口負荷試験	少量の原因の食物を摂取する	食物アレルギーの診断およびアレルゲンの安全な摂取開始量を決める