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乳児の湿疹について

食物アレルギーと乳児の湿疹(アトピー性皮膚炎)は密接に関係しています。

湿疹のある乳児は、卵や牛乳、小麦などの食べ物にアレルギーを起こしやすいことから、昔は「湿疹の原因は食べ物ではないか」と考えられていました。そのため、アレルギー反応が出た食べ物を子どもが避けるだけでなく、母乳で育てている場合はお母さんまで卵や牛乳、小麦を控えるよう指導されていた時代もあります。

しかし、この10年で考え方は大きく変わりました。湿疹の原因が食べ物ではなく、むしろ「湿疹があること自体が食物アレルギー発症の大きな要因」だとわかったのです。

このため、生まれてすぐから保湿剤を使うと湿疹の発症を減らせるという報告が出たとき、日本中で「保湿剤ブーム」といえるほど、乳児に保湿剤を塗る取り組みが広まりました。

素早く適切なケアで食物アレルギーの発症を抑える

ただし、早くから保湿剤を塗っても、食物アレルギーそのものを防ぐことはできません。大切なのは、湿疹が出たらできるだけ早く治療を始めることです。具体的には、炎症を抑える薬剤(ステロイドが主体になります)を使って、皮膚をすべすべ・ツルツルの状態に保つことが重要です。こうしたケアによって、食物アレルギーの発症を抑えられることがわかっています。

皮膚のケアをしっかりと行いながら、食物アレルギーの原因となる食べ物は早期に摂取開始するのが食物アレルギー発症予防の重要なポイントです。

学童・思春期のアトピー性皮膚炎

乳児から幼児までのアトピー性皮膚炎は上記のようにしっかりスキンケアを実行していただければコントロールはあまり難しくはありません。

学童期以降で、親御さんに軟膏を塗らせてくれなかったり、ホルモンの影響や、様々なストレスが増えて来ることも影響するためか、急激に悪化し、通常の軟膏療法ではコントロール出来なくなる事がしばしばあります。

新しい薬剤も登場しています

近年、アトピー性皮膚炎の病態に関わるサイトカインという物質に作用する薬がいくつか開発され小児でも使用できるようになっています。しっかり軟膏療法を行っていても難治なアトピー性皮膚炎のお子さんには非常によく効く治療です。