花粉・食物アレルギー症候群とは
花粉症の人に合併する食物アレルギーを、「花粉・食物アレルギー症候群(Pollen-Food Allergy Syndrome:PFAS)」と呼びます。PFASは、花粉症の原因となる物質と似た成分が果物などの食べ物に含まれていることで起こります。
PFASの特徴として、果物や野菜を加熱・加工(ジャムやコンポートなど)すると症状が出にくくなることがあります。
北海道における花粉・食物アレルギー症候群

日本全体ではスギ花粉症が有名ですが、北海道には杉がほとんどないため、スギ花粉症の患者さんは少ないです。その代わり、北海道ではシラカバ花粉症が非常に多く、季節は4〜6月です。その他、雑草による花粉症も少なくありません。
特にシラカバはPFASを起こしやすく、北海道で学童の食物アレルギーの原因として果物が最も多いのはそのためです。
ほとんどの場合は、野菜や果物を“生”で食べたときに唇・口の中・のどにイガイガ感やかゆみを感じる「口腔アレルギー症候群(Oral Allergy Syndrome:OAS)」と呼ばれるもので、不快ではありますが、あまり心配はいりません。不快より「美味しい、食べたい」という気持ちの方が強ければ食べても良いとお話ししています。ただし、全身症状を伴う場合は避けた方が安全です。
シラカバ花粉症に関連するPFASでは、豆乳に注意が必要です。一気に飲むと強い全身症状(アナフィラキシー)を起こす可能性があります。実際、豆乳入りのプロテインを飲んで救急搬送された例もあります。なお、生の豆乳以外の大豆製品は、問題ないことが多いです。
花粉とPFASを生じる主な果物や野菜の例
シラカバ・ハンノキ
バラ科(リンゴ、モモ、ナシ、サクランボ、イチゴ、ビワ)、ウリ科(メロン、スイカ、キュウリ)、ダイズ(主に豆乳)、キウイ、オレンジ、ゴボウ、ヤマイモ、マンゴー、アボガド、ヘーゼルナッツ、ニンジン、セロリ、ジャガイモ、トマト、ピーナッツ、香辛料(マスタード)
スギ
トマト
オオアワガエリ・カモガヤ
メロン、スイカ、トマト、ジャガイモ、タマネギ、オレンジ、セロリ、キウイ
ブタクサ
スイカ、メロン、ズッキーニ、キュウリ、バナナ
よもぎ
ニンジン、セロリ、レタス、ピーナッツ、クリ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ジャガイモ、トマト、キウイ、香辛料(マスタード、コリアンダー、クミン)
